お問い合わせ

Newsrelease

コラム

2026.08.21

リニアモーターカー~電磁力について~

「リニアモーターカー」と聞くと、磁石の力で車体を浮かせながら高速で走る未来的な乗り物をイメージする方も多いのではないでしょうか。その仕組みを支えているのが、電気と磁気によって生まれる「電磁力」です。実は、リニアモーターカーの技術は将来の乗り物だけのものではなく、すでに身近な交通機関にも利用されています。今回は、愛知県を走る「リニモ」を例にしながら、リニアモーターカーの仕組みと電磁力について紹介します。

リニアモーターカーとは

リニアモーターカーとは、その名前のとおり「リニアモーター」を利用して走行する乗り物です。

一般的な電車では、モーターの回転運動によって車輪を回し、車輪とレールとの間に生じる力を利用して前へ進みます。一方、リニアモーターは一般的な回転式モーターを直線状に展開したような構造をしており、回転運動を介さず、直接直線方向の力を発生させることができます。

ここで注意したいのが、「リニアモーターカー=必ず浮いて走る」というわけではないことです。リニアモーターはあくまで車両を前後に動かすための仕組みであり、車輪で走行するリニアモーター式鉄道も存在します。都営大江戸線などがそれにあたります。

一方、一般的にリニアモーターカーとしてよくイメージされるものには、磁力によって車体を浮上させる「磁気浮上式」があります。

代表的なものが、JR東海が中央新幹線への導入を進めている「超電導リニア」です。車両に搭載された超電導磁石と、地上側に設置されたコイルとの間に生じる磁力を利用して、車両を約10cm浮上させながら走行します。推進についても、地上の推進コイルに発生させるN極・S極を切り替えることで、磁石同士の吸引力と反発力を利用しています。

このように、リニアモーターカーでは「電気から磁力を生み、その磁力を運動へ変換する」という技術が重要な役割を果たしています。

従来からある仕組み

超電導リニアは将来の高速鉄道として注目されていますが、磁気浮上式リニアモーターカーそのものは、すでに営業運転されています。

その代表例が、愛知県の藤が丘駅から八草駅までを結ぶ「リニモ」です。リニモは2005年3月に開業した、常電導吸引型磁気浮上・リニアインダクションモーター推進方式の鉄道です。営業距離は8.9kmで、最高速度は約100km/hとなっています。

リニモでは、車両側に設置した電磁石と軌道側の鉄製レールとの間に働く吸引力を利用して車体を浮上させます。

電磁石に電流を流すと磁力が発生し、軌道側を引き寄せようとする力が生まれます。この力を適切に制御することで、車両を軌道からわずかに浮かせた状態に保ちます。

そして車両を前進させるために使用されているのが「リニアインダクションモーター」です。車両側にコイルを設置し、軌道側と組み合わせることで、一つのモーターとして機能します。

また、車体が浮上して走行するため軌道面との接触がなく、走行時の騒音や振動が小さいことも特徴です。さらに、車輪とレールの摩擦に頼らず推進するため、急な勾配にも対応しやすいというメリットがあります。

このように、リニモは電磁力を「浮かせる力」と「前へ進ませる力」の両方に活用している乗り物です。

電磁力とは

では、リニアモーターカーの重要な技術である「電磁力」とはどのようなものでしょうか。

電流が流れると、その周囲には磁界が発生します。例えば、導線をコイル状に巻いて電流を流すと磁石のような性質を持つようになります。これが「電磁石」です。

電磁石にはN極とS極があり、一般的な磁石と同じように、

N極とS極は引き合う
N極同士、S極同士は反発する

という性質があります。

この磁力を利用して物体を動かす力が、リニアモーターカーを動かす基本的な原理です。

例えば車両側の磁石がN極の場合、進行方向の前方にS極を発生させれば、引き合う力によって車両を前へ引っ張ることができます。同時に車両の後方にN極を発生させれば、反発する力によって後ろから車両を押すことができます。

そして電流の流し方を制御してN極とS極の位置を次々に移動させれば、車両もその磁界を追いかけるように連続して前進していきます。

身近な扇風機やエアコン、エレベーターなどに使用されるモーターも、基本的には電気と磁気の関係を利用して力を生み出しています。

つまり、リニアモーターはまったく新しい物理現象を利用しているわけではありません。これまで回転運動として利用してきた電磁力を、直線運動として利用している点が大きな特徴です。

電磁力のメリット・デメリット

電磁力を利用することには、さまざまなメリットがあります。

まず大きなメリットは、物体同士を直接接触させなくても力を伝えられることです。

磁気浮上式では、車体を浮かせることで車輪とレールとの接触を減らす、あるいはなくすことができます。そのため、接触部分の摩耗を抑えやすく、騒音や振動の低減にもつながります。

さらに、車輪とレールの摩擦による推進力に依存しないため、リニアモーターでは急勾配への対応や高い加減速性能を実現しやすいという特徴があります。リニモでも、磁気浮上による静かな走行や急勾配への対応などが特徴として挙げられています。

一方、デメリットもあります。

電磁石を利用するには電力が必要であり、磁力を適切に発生させるためには電流を細かく制御しなければなりません。特に磁気浮上式では、車体と軌道との間隔や車両の位置を安定させるため、高度な制御技術が必要になります。

また、一般的な鉄道とは軌道や車両の構造が大きく異なるため、専用設備の整備も必要です。

さらに、強い磁界を利用するシステムでは、周囲への磁界の影響についても考慮する必要があります。

このように、電磁力には非接触で大きな力を生み出せるという優れた特徴がある一方で、それを安定して利用するための電力設備や制御技術が欠かせません

まとめ

リニアモーターカーは、電気によって生み出される磁力、つまり電磁力を巧みに利用した交通システムです。

一般的な鉄道が「モーターを回転させて車輪を動かす」のに対し、リニアモーターでは電磁力によって直線的な推進力を生み出します。さらにリニモや超電導リニアでは、その磁力を車体の浮上にも利用しています。

一見すると特殊な最先端技術に思えるリニアモーターカーですが、その基本となる「電流を流すと磁界が生まれる」「磁石には吸引力と反発力がある」という現象は、一般的なモーターにも使われている身近な原理です。

電気は照明や家電製品を動かすだけではなく、磁力へ変換することで大きな物体を浮かせたり、高速で移動させたりすることもできます。

リニアモーターカーは、電気が持つエネルギーを「力」に変える仕組みを分かりやすく体感できる技術の一つといえるでしょう。

 

著者情報 AUTHOR


 
大学を中退し19歳から社会人に。IT商材、不動産営業の経験を経て電気設備業界へ。元々電気設備業界である父親の縁があり、プランテクノに入社。積算業務の経験を積み、積算1課長に。現在は横浜市に拠点を置き、新規客先への営業も担当。
好きなことは「効率化」、好きな電設資材は「小さなプルボックス」。

 

 

 

 

 

 

 取得資格

- 第一種電気工事士    R4年12月取得

Contact

建築設備の設計や積算のご相談、
採用のご相談など、何でもお気軽にお問い合わせください。