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コラム
2026.10.30
電線とケーブルの違いとは?

電気設備の図面を見ていると、「電線」と「ケーブル」という言葉が頻繁に登場します。
一般的には同じような意味で使われることもありますが、電気設備の設計や施工、積算では
この違いを理解しておくことが重要です。
今回は、電線とケーブルの構造上の違いだけでなく、「なぜ電線を配管に入れるのか」という施工上の違いまで含めて解説します。
そもそも「電線」とは?
「電線」は広い意味では電気を伝える線材全般を表します。
一方、電気設備の実務ではケーブルに対し、IVやEM-IEなどの絶縁電線をイメージすると分かりやすいでしょう。
代表的なものには
・IV :600Vビニル絶縁電線
・HIV:600V二種ビニル絶縁電線
・EM-IE:600V耐燃性ポリエチレン絶縁電線
などがあります。
基本的には、導体 + 絶縁体 という構造です。
銅などの導体を絶縁体で覆っていますが、ケーブルのようなシース(外被)はありません。
そのため、建築電気設備では使用場所や工事方法に応じて、電線管などに収めて施工します。

なぜ電線は電線管に入れるのか?
電線を電線管に収める大きな目的は、感電や漏電、短絡などの電気事故を防止することです。
IVなどの絶縁電線には絶縁被覆がありますが、ケーブルのようなシースはありません。
そのため、施工場所や工事方法に応じて電線管に収めることで、絶縁被覆を外部からの衝撃や
摩擦などから保護します。
絶縁被覆が損傷すると内部の導体が露出し、人が触れれば感電、金属部分に接触すれば漏電・
地絡・短絡につながる可能性があります。
ケーブルとは?
一方のケーブルは、絶縁された導体をさらにシース(外被)で覆った構造を持っています。
簡単に比較すると、
・絶縁電線:導体 + 絶縁体
・ケーブル:導体 + 絶縁体 + シース
という違いがあります。
代表的なケーブルには、
CV・CVT・VVF・EM-CE・EM-EEF
などがあります。
シースによって外側が保護されているため、ケーブルとして認められた工事方法であれば、必ずしも電線管に収める必要はありません。
例えばCVTをケーブルラック上に敷設したり、VVFを所定の方法で天井内ころがし配線にしたりすることができます。
ただし、ケーブルならどこでも配管なしでよいという意味ではありません。
外傷を受けるおそれがある場所などでは、ケーブルであっても保護管などによる保護が必要になる場合があります。

電線とケーブルを比較すると
基本的な違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | 絶縁電線 | ケーブル |
|---|---|---|
| 代表例 | IV、HIV、EM-IE | CV、CVT、VVF、EM-CE |
| 基本構造 | 導体+絶縁体 | 導体+絶縁体+シース |
| シース | 基本的になし | あり |
| 施工 | 電線管などに収めることが多い | ラック・ころがし・管路など |
ただし、この表だけで「電線は必ず配管」と覚えてしまうと、少し問題があります。
その代表例が接地線です。
接地線も「電線」ですが、必ず配管に入れるわけではありません。
接地線は、電気設備に異常が発生した際などに、安全に電流を大地へ流すための重要な電線です。
例えば、
IV 5.5sq
IV 14sq
IV 38sq
などを接地線として使用することがあります。
ここで重要なのは、「IVだから必ず電線管に入れるわけではない」ということです。
接地線について重要なのは、必要な電気的性能を確保するとともに、損傷を受けるおそれがないように布設することです。
したがって、施工場所や条件によっては接地線を露出して布設することもありますし、機械的損傷のおそれがある部分については保護管を設けることもあります。
つまり、
「電線かケーブルか」だけで施工方法が決まるわけではない
ということです。
電線がどのような目的で使用されるのかまで確認する必要があります。
接地線を保護する場合は「何の接地線か」にも注意
接地線を保護管に収める場合、さらに注意したいポイントがあります。
一般的な接地線については、合成樹脂管などのほか、仕様によっては金属管を保護管として使用することもあります。
したがって、
「接地線を金属管に入れてはいけない」
と一律に考えるのは適切ではありません。
一方、特に注意したいのが避雷器用の接地線です。
避雷器の接地線には、雷サージによって非常に急峻な電流が流れる可能性があります。
このような接地線を磁性体である鋼製の管で囲むと、電磁誘導による影響が問題になるため、避雷器用接地線を保護する場合には、合成樹脂管などを使用します。
このため、一般用接地線と避雷器用接地線では、保護管の考え方が異なることも覚えておきたいポイントです。
「接地線」という例外を知ると電線の理解が深まる
電気設備を勉強し始めた頃は、
電 線 → 電線管に入れる
ケーブル → そのまま配線できる
と覚えた方が理解しやすいかもしれません。
しかし実務では、もう一段深く考える必要があります。
例えば、IVを電路の配線として使用する場合と、IVを接地線として使用する場合では、同じIVでも施工方法が同じとは限りません。
つまり重要なのは、「何という電線なのか」だけでなく、「何のために使用する電線なのか」ということです。
これは電気設備設計だけでなく、積算においても非常に重要な視点です。
まとめ
電線とケーブルの基本的な違いは、その構造を見ると分かりやすくなります。IVなどの絶縁電線は電線管に収めて使用するケースが多い一方、CV・CVT・VVFなどのケーブルは、施工条件に応じて配管を使用しない工事方法も可能です。
しかし、ここで重要なのが、
「電線=必ず配管」ではない
ということです。
接地線のように、電線であっても施工条件によって露出して施設できるものがあります。また、接地線を保護する場合でも、一般接地線と避雷器用接地線では保護管の選定が異なることがあります。逆にケーブルだからといって、必ず保護管が不要というわけでもありません。
したがって電気設備の設計や積算では、
「電線かケーブルか」だけではなく、「何のために使われ、どのように施工されるのか」まで見ること
が重要です。
図面に描かれた一本の線から実際の施工方法まで読み取る。
これが、電気設備図面を正確に理解し、積算の拾い漏れを防ぐための基本の一つです。
著者情報 AUTHOR
大学中退、就職した施工管理会社の倒産、仲間との起業、そして過重労働からの脱出など、あらゆる難局を越えてついにたどり着いた自分たちの理想の会社。経営者として分からない事ばかりだが、日々試行錯誤し、より良い会社にすべく奮闘中。
電気施工管理8年・設備設計事務所9年を経て、現在に至る。取得資格
- 第三種電気主任技術者 H11年12月取得
- 第一種電気工事士 H12年1月取得
- 2級管工事施工管理技士 H13年2月取得
- 建築設備士 H22年6月取得
- エネルギー管理士 H23年11月取得
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