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コラム

2026.01.25

公共工事設計労務単価の仕組みと問題点

公共工事積算に用いられる「公共工事設計労務単価」は、その中身が十分に理解されないまま扱われることが少なくありません。この記事では、公共工事設計労務単価がどのような考え方で構成されているのかを整理し、誤解や実勢とのギャップについて、設備積算の視点から分かりやすく解説します。

 

公共工事設計労務単価とは

公共工事設計労務単価は歩掛方式の労務費の算定のために用いられる単価であり、一日8時間当たりの標準的な賃金水準として設定される基準単価です。また、単価は、農林水産省及び国土交通省の直轄・補助事業等より、毎年10月に約1万2千件を無作為に抽出し、調査のうえ決定されており、公共工事の予定価格算定や積算の基礎として全国で使用されています。

 

公共工事における設計労務単価の必要性

公共工事の工事費には当然のことですが、税金が充てられます。そのため、工事価格の透明性、公平性や不当な価格調整・競争の防止などが強く求められます。設計労務単価を設定し、積算基準を定めることにより、適正な工事価格を設定することが可能となります。

 

「設計労務単価=職人の賃金」ではない

注意すべき点として、公共工事設計労務単価は職人の賃金とイコールではないということです。

設計労務単価は以下の1~4で構成されています。
1.基本給相当額
2.基準内手当(当該職種の通常の作業条件及び作業内容の労働に対する手当)
3.臨時の給与(賞与等)
4.実物給与 (食事の支給等)

逆に、設計労務単価には含まれていない費用は以下の通りです。

1.時間外、休日及び深夜の労働についての割増賃金
2.各職種の通常の作業条件又は作業内容を超えた労働に対する手当
3.現場管理費(法定福利費:事業主負担分、研修訓練等に要する費用等)及び一般管理費等の諸経費

 

実勢単価との乖離はなぜ起こるのか

多重下請け構造による間接費の増大

実際の現場では
元請

一次下請

二次下請

専門工事業者など

といった多重下請け構造が一般的です。
そして、そこに様々な間接費が上乗せされます。

大規模な現場ほど間接費の影響が大きく、結果として実勢の労務単価は設計労務単価と大きく乖離する場合が少なくありません。

 

技術者不足と高齢化の影響

建設業界全体の技術者不足も労務単価が乖離する大きな要因となっています。

・若年層の入職者減少
・熟練技術者の高齢化と引退
・特定職種の技術者不足 など

これらにより、「人材を確保する」こと自体が大きなコストとなっています。

 

積算をしていて感じる現場とのズレ

積算技術者の立場で最も悩ましいのは、「積算上は正しいが、現実的には厳しい」です。

・数量は図面通り拾い出している
・単価も積算基準通り
・共通費も積算基準に準拠し算出している

それでも、入札では不調となり、施工者側からは「この金額では厳しい」という声が上がる。

結果として、

・再設計、設計変更にて調整する
・VE提案で調整する
・現場の努力に依存し負担を強いる

といった形で調整されているのが実情です。

設計用労務単価が抱える制度的な問題

単価改定のタイムラグ

設計労務単価は毎年改定されていますが、

・賃金上昇
・技術者不足による単価上昇
・働き方改革への対応
・週休2日工事普及への対応

といった変化をリアルタイムに反映することは困難です。

統一基準の限界

同じ都道府県でも都市部と地方で差異があり、繁忙期と閑散期でも差異があります。また、特殊技能を必要とする工程でも差異が生じます。しかし、設計労務単価は全国的な統一基準のためこれらすべてを網羅することは出来ません。設計労務単価はあくまで平均値であり、個別の状況を保証できるものではないという認識が必要です。

今後の見通しと積算技術者としての向き合い方

今後も設計労務単価は段階的に引き上げられていくと考えられます。しかし、それだけで問題が解決するとは思えません。重要なのは、積算技術者が「単に金額を算出する人」になるのではなく、設計と現場の間にある問題点を洗い出し潤滑剤の役割を担うことです。

・なぜこの金額になるのか
・どのようなリスクがあるのか
・調整の余地はどこにあるのか など

これらの情報、問題点を整理しスムーズに設計と現場をつなぐことが、これからの積算技術者に強く求められていくのではないでしょうか。

 

まとめ

設計労務単価は公共工事を遂行するために必要不可欠です。
しかし同時に、実勢単価との乖離などの問題もあり決して万能ではありません。

積算技術者は「積算をこなす人」ではなく、積算の制度・実勢・現場のリスクなどを理解した上で判断する専門家として、設計と現場の橋渡しをしていく必要があります。
それが結果として、設計労務単価を含めた積算基準の安定した運用と、設計・積算・現場の健全で持続的な関係を構築することにつながっていくと思います。

 

著者情報 AUTHOR


 
大学中退、就職した施工管理会社の倒産、仲間との起業、そして過重労働からの脱出など、あらゆる難局を越えてついにたどり着いた自分たちの理想の会社。経営者として分からない事ばかりだが、日々試行錯誤し、より良い会社にすべく奮闘中。
電気施工管理8年・設備設計事務所9年を経て、現在に至る。

 取得資格

- 第三種電気主任技術者   H11年12月取得
- 第一種電気工事士     H12年1月取得

- 2級管工事施工管理技士    H13年2月取得
- 建築設備士        H22年6月取得

- エネルギー管理士     H23年11月取得

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