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2025.12.25

電気設備工事における設備項目【放送設備編】

電気設備工事の中でも「放送設備」は、非常時の情報伝達から日常の館内案内まで、建物の安全性と利便性を支える重要な設備です。学校や病院、工場、商業施設、オフィスビルなど、多くの建築物で導入されており、用途や運用方法によって求められる仕様は大きく異なります。
一見するとスピーカーやアンプを設置するだけのシンプルな設備に思われがちですが、実際には建築計画や防災計画と密接に関係し、設計・積算・施工の各段階で注意すべきポイントが多く存在します。

本記事では、放送設備の基本的な考え方から、設計・積算時の実務的なポイント、施工現場で起こりやすいトラブルまでを整理し、実務に役立つ視点で解説します。

放送設備とは

放送設備とは、建物内外に音声情報を伝達するための電気設備の総称です。主に「非常放送設備」と「一般(業務)放送設備」に大別されます。
非常放送設備は、火災時などの非常時に避難誘導を行うための設備で、建築基準法や消防法によって設置基準や性能が定められています。一方、一般(業務)放送設備は、業務連絡、呼び出し、BGM放送など日常的な用途を目的とした設備です。
官庁物件での呼び方は「拡声設備」です。

構成要素としては、放送アンプ、操作卓、非常用操作部、スピーカー、配線(放送用ケーブル)などが挙げられます。建物の規模や用途に応じて、ゾーニング(放送エリア分け)や優先制御の考え方も重要になります。特に非常放送と一般放送を兼用する場合は、非常時に自動的に非常放送が優先される仕組みが求められます

設計のポイント

放送設備の設計では、まず建物用途と運用方法を明確にすることが重要です。例えば、学校では校内放送やチャイム連動、工場では作業エリアごとの一斉・個別放送、商業施設ではBGMと緊急放送の切り替えなど、求められる機能が異なります。

次に重要なのがスピーカー配置です。音量だけでなく、聞こえやすさを確保するために、天井高さや仕上げ材、周囲の騒音レベルを考慮する必要があります。過不足のない配置計画を行わないと、「音が小さい」「反響して聞き取りにくい」といった問題につながります。

また、非常放送設備の場合は、消防署との事前協議が欠かせません。操作部の設置位置、放送区域の区分、配線方式などは、地域の指導要領によって細かな指定があるため、設計段階での確認が重要です。後工程での修正はコスト増や工期遅延につながりやすいため、初期検討が鍵となります。

積算のポイント

放送設備の積算では、機器費と配線工事費を正確に把握することが求められます。アンプや操作卓、スピーカーなどの機器はメーカーや仕様によって価格差が大きく、安易な想定では予算超過を招きます。

特に注意したいのがスピーカー数量と配線長です。設計図上では単純に見えても、実際には天井内配線の迂回や立ち上がり・立ち下がりが発生し、想定以上のケーブルが必要になるケースがあります。また、非常放送用配線では耐熱・耐火性能を持つ専用ケーブルが必要となるため、一般放送用との区別を明確にしておく必要があります。

さらに、調整・試験費用も見落とされがちな項目です。放送設備は設置して終わりではなく、音量調整や非常放送の動作確認など、引き渡し前の試験作業が重要です。これらを適切に積算に反映することで、実行予算との差異を減らすことができます

放送設備の施工トラブル

施工段階で多いトラブルの一つが、他設備との干渉です。照明器具や空調吹出口、スプリンクラーとの位置関係を十分に確認せずに施工すると、スピーカーの移設や再施工が必要になる場合があります。特に天井内が混み合う現場では、事前の納まり検討が重要です。

また、音が「聞こえない」「音質が悪い」といったクレームも少なくありません。これは設計段階の想定不足や、施工時の結線ミス、スピーカー極性の不一致などが原因となることがあります。施工後の試験調整を丁寧に行い、実際の使用環境で確認することが重要です。

まとめ

放送設備は、建物の安全性と日常運用の両面を支える重要な電気設備です。設計段階では用途や運用を踏まえた計画と、関係法令への対応が不可欠です。積算では機器仕様や配線条件、試験調整費まで含めた現実的な数量把握が求められます。そして施工段階では、他設備との調整や丁寧な試験確認が品質確保の鍵となります。

放送設備は一度設置すると変更が難しい設備でもあります。だからこそ、設計・積算・施工の各フェーズでの理解と連携が、トラブルの少ない設備構築につながります。本記事が、放送設備に携わる実務者の参考になれば幸いです。

 

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著者情報 AUTHOR


 
大学を中退し19歳から社会人に。IT商材、不動産営業の経験を経て電気設備業界へ。元々電気設備業界である父親の縁があり、プランテクノに入社。積算業務の経験を積み、積算1課長に。現在は横浜市に拠点を置き、新規客先への営業も担当。
好きなことは「効率化」、好きな電設資材は「小さなプルボックス」。

 

 

 

 

 

 

 取得資格

- 第一種電気工事士    R4年12月取得

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