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コラム
2025.12.19
設計図のNFT化による責任範囲の明確化

昨今の設計業界、設計図の扱われ方について色々と疑問に思う事があります。
それは改訂履歴が曖昧になっているということと、責任の範囲が不明確であるということです。それらにより現状どんな問題が起きているのか、また、その課題の解決のために何ができるのかを考えてみました。
そして行き着いた「設計図のNFT化」という未来の可能性をご紹介いたします。
【目次】
現状の問題構造
発生している課題
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設計図を納品した後、現場や施主側で図面に直接変更・加筆が行われる。
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変更履歴が残らず、誰が、いつ、どんな目的で変更したか不明になる。
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トラブル発生時に「設計ミスなのか現場変更なのか」が判別できない。
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結果として、設計者が不当な責任追及を受けるケースがある。
背景
- 多くの設計図はPDFやCADデータがメール・USB等でやり取りされ、バージョン管理が属人的に
なっている。 - 契約上の納品図と、現場最終使用図が一致していないことが多い。
NFTによる問題解決の可能性
NFT(非代替性トークン)は、データの発行者・発行日時・改変履歴をブロックチェーン上で
半永久的に記録できます。この性質を活用することで、次のような制度設計が可能です。
設計図ごとにNFTを発行し、真正性を証明
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設計事務所が設計図データをNFTとして発行。
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発行時に「設計者名」「発行日時」「工事件名」等をブロックチェーンに記録。
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このNFTが「設計者が責任をもつ最終版」であることを証明。
→ 設計者が責任を負う範囲を明確化できます
改訂・変更もNFTとして別トークン発行
- 現場側で修正・変更を加えた場合、変更後図面を新たなNFTとして発行。
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前バージョンとの関係をメタデータによって自動的に紐づけ。
- 誰が、いつ、何を変更したかが時系列で記録される。
→ 変更履歴の完全なトレーサビリティが実現できます
例)
図面Ver.001(設計者NFT) → 図面Ver.002(現場改訂版NFT)発行者:〇〇設計事務所 発行者:施工会社△△建設
発行日:2025/06/01 発行日:2025/07/03
改訂理由:給電系統変更
NFT保有者による変更権限を管理
- 設計図NFTには変更権限を付与し、限定的に変更許可を与える。
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権限を持たない第三者が変更しようとすると、ブロックチェーン上で拒否される。
→ 不正な図面改変を防止できる
紛争時の強力な証拠となる
- 改ざん不能なブロックチェーン上の履歴は、裁判や紛争対応時の証拠として極めて強力。
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「設計者は設計図NFT Ver.001の内容に責任を負うが、それ以降の改変には関与していない」こと
を技術的に証明できる。
→ 不当な責任追及の防止
注意すべき点
業務契約条件との整合性
NFT上で責任範囲を明示しても、契約書に同様の記載がなければ法的拘束力が限定的になる可能性があります。契約書に「NFT上で発行された図面を正式納品物とする」という旨を明記する必要があります。
データ秘匿性の管理
ブロックチェーン上では図面データそのものは暗号化または外部ストレージにて保管し、公開用のハッシュ値のみを登録する設計が安全だと思われます。
業界標準化の必要性
設計者、施工者、施主が共通で利用できる「建築NFT台帳」のような仕組みの構築が必要です。
まとめ
設計図のNFT化は、「責任の明確化」「改訂履歴の追跡」「不当責任追及の防止」を同時に実現できる画期的な仕組みになり得ると思います。従来のような「誰がいつ変更したかわからない」状態を脱し、設計者、施工者、施主が健全な責任関係を共有する新しい信頼モデルを構築できます。夢物語のような話ではあるかもしれませんが、こうした健全な環境を作ることが業界の健全な発展につながると、私は信じています。
著者情報 AUTHOR
大学中退、就職した施工管理会社の倒産、仲間との起業、そして過重労働からの脱出など、あらゆる難局を越えてついにたどり着いた自分たちの理想の会社。経営者として分からない事ばかりだが、日々試行錯誤し、より良い会社にすべく奮闘中。
電気施工管理8年・設備設計事務所9年を経て、現在に至る。取得資格
- 第三種電気主任技術者 H11年12月取得
- 第一種電気工事士 H12年1月取得
- 2級管工事施工管理技士 H13年2月取得
- 建築設備士 H22年6月取得
- エネルギー管理士 H23年11月取得
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